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Deadman's Beak歌词

歌手:Mamyukka 专辑:Doctor Nacht

Deadman's Beak
听译:Rin
不意に、嗅ぎ慣れた匂いが鼻を衝く。
死臭だ、と即座に男は気が付いた。
ああ、ついに俺も死ぬのか、と男は笑った。
死にたくないと縋る気持ちよりも、
憎悪の方がよほど強くその衰弱した体の中で渦巻いていた。
誰に向けた恨みか?それは勿論普く全能の神への。
そして無力すぎた、他ならぬ己への。
臭い。先程まで感じていた酷い喉の渇きも、体の痛みも、
もう何も感じない。ただただ臭い。
狂いそうなほどに不快な匂いが充満していて、
男は今にも尽き果てそうな力を使って懸命に首を振った。
この黒く重いマントと息苦しいだけのマスクで必死に遮断してきた匂いだった。
世界の匂い、人穢れに満ちた、この世界の匂い。
それが今は吸い込む空気にも吐き出す息にも深く深く溶け込んで、
男自身の匂いと同化していた。
せめて最後にあの花の香を嗅ごうと思いつく。
マスクの鼻先に仕込んだ花びらだけではとても足りないのだ。
せめて最後にもう一度、あの美しい少女にもらったこの世でもっとも香しい香りを。
男は蹲った体のすぐ横に置かれた鞄に手を伸ばす。
いや、伸ばしたつもりだった。
だがマントの中で腐り落ちた腕は動く筈もなく、
肩の付け根だけがごく僅かに震えただけだった。
そしてそのことに気づくこともないまま、
男の意識はその憎悪と共に深い闇の底へと落ちていった。
道端に死体が転がっていた。
幼い子供も老人も、女も男も、猫も犬も。
疫病はそうそう選り好みなどしない。
その中に黒いマントで全身を覆い、白い鳥の様な形なマスクで顔を覆った死体があった。
道行く者は溜め息をつく、疫病医でさえあのざまだ。いつ自分が仲間入りするかわからない。
見てはいけない、近づいてはいけない、顔を背けて足早に通り過ぎる。
だからこそ、誰も気が付かなかった。
疫病医の死体が不意にすくっと立ち上がった。
いや、厳密には死体は立ち上がっていない。
皮膚が爛れ、腕が剥けた男の死体は、今もまだ地面に転がっている。
黒い帽子と黒いマントと白い仮面だけが宙に浮かんでいた。
まるでそこに誰かがいるように見えるが、マントの下から覗いているはずの手足はない。
仮面は暫し転がった死体を眺めていた。
その腫れあがった顔と、蝕まれた体と、干上がった涙の跡と、伸ばすことさえできなかった腕と。
ただただ静かに見下ろす仮面の足元に、といっても足はないのだが、ネズミたちが集まってくる。
チチチと鳴いて、白い仮面を見上げる。
暫くして、仮面はふらりと動き出した。
まるで人間が歩いているかのような動作でふよふよと飛ぶ。
ネズミたちを引き連れ、屍となった主を置き去りにして、
通りの角を曲がって、夜の闇へと消えてしまった。
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