碧い眼の海賊歌词
第十七巻 84ページ
《 Chronicle 2nd 》
Vol.15
碧い眼の
「大変だお
前方に突然巨大な嵐が發生ちやがった
「あ~ぁありゃセイレーンですぜお
「セイレーン如きでびびってんじゃないよ
情けないねぇ
あっちが海の魔女なら
こっちは海の美女だっつうの
「”麗しき姿<美の女神>(Venus)の如し”と謳われた
この<海の女神様>(Thetis様)を嘗めんじゃないよ
「そりゃ”猛き姿<戦の女神>(Pallas Athene)の如し
の間違いじゃ
「ズィマー何か言ったかい
「ひぃ
「いくよ野郎ども
びびってんじゃないよ!」/
「そ~ら、おいでなすっだぜ
「さあ、漕ぐぞ、漕ぐぞ
さあ、漕ぐぞ、漕ぐぞ
それ!それ
「さあ、漕ぐぞ、漕ぐぞ
さあ、漕ぐぞ、漕ぐぞ
それ!それ
「さあ、漕ぐぞ、漕ぐぞ
さあ、漕ぐぞ、漕ぐぞ
それ!それ
「さあ、漕ぐぞ、漕ぐぞ
さあ、漕ぐぞ、漕ぐぞ
それ!それ
… 波間を漂う襤褸(ぼろ)い板切れ
若い娘を背に乗せ何処へくのか
「よぉ…気が付いたかい
「ここは
貴女(あなた)は
「此処は
この船は<絶世の美女=海の
あたいはこの船の船長レティーシス
「そっちの図體のデカイ野郎はヤスロー
筋肉馬鹿だ
「宜しくな、嬢ちゃん
「こっちの胡散臭い髭の野郎はズィマー
唯の馬鹿だ
「がび~ん
「他にも馬鹿な野郎が大勢乗ってる
で、あんたは
「助けて下さってありがとう
私はアニエス
海の魔女(セイレーン)の嵐に巻き込まれてしまって
嗚呼…みんな今頃きっと昏い海の底に
「もう
海の女が泣くんじゃないよぉ
「…ってアナタ/“……
その首飾りどうしたのよ
「うわぁ
立ち直りの早い娘だねぇ
昔…溺れかけてたおっさんを助けた時に貰ったのさ
何でも命よりも大事なもんらしい
「そのおっさんって私の父(パパ)よ
間違いないわ
生きてるの
生きてるのね
私の父(パパ)は
いー
きー
てー
るー
のー
ねー
「うわぁ
あんたも生きてた
親父さんも生きてたんだ
あんたの仲間にも
他に生きてる奴がいるんじゃないか
「船を出して
今すぐ出して
出して
出してなさい
ふー
ねー
をー
だー
しー
なー
さー
い
「どひゃか
波を毆り倒しながら突き進む
それを導くかのように蒼穹を翔け抜ける
その白は真っ直ぐ蒼に溶け込んでゆくように
どこまでも…/
どこまでも…/
END