妖かし千夜一夜歌词
「此の路や一体何所々々まで
歩けば良いの」と呟けば
「延々続きまするぞな」とは
何方彼方の答やらな
小さな行灯片手に歩めば
「進むが好しや」と嗤い
揺凛弄と
さも蜻蛉と背中を圧す闇蟲が声
幾度と響く風の唄は敵か味方か
嗚呼果たして
深々月夜を背負う何者か
「戻るは無しや」と嗤う
性悪共に誘われて
迷い込み踏み込んだは
誰も知らぬ妖かしの土地
生きて還りたいならば
さあさ御出で
未だ抜けた者の居ない
此の森へ
触夜離と
蠢く其れは正に人で
無しものの声
何処かにて啼いた梟の
決して月如し眼に非ず
お天道様さえ見抜けぬ悪鬼の
まこと無残な思惑
物の怪らよ贄は揃うた
闇色を纏いてさあ
誰も居らぬ妖かしの街
子供らの白き御魂
さあさ連れて逝くが良いよ
魑魅の花一匁
蝋燭吹消しげに悍しき
奇談に幕を下ろせば
怨みつらみを語り尽くす
禍々しき戯びにて
「百にはまだまだ足らぬぞ」と
囁く嗄れ声が
君や私でないとしたならば
何ぞの物やらな