初番目物「龍人秘抄」歌词
作词 : 凋叶棕
作曲 : ZUN
目覚めし龍ノ子よ
その姿は未だ醜く
翼も持たず
ただ地を這って生きるのみか
小さき龍ノ子は
その嘆き嘆けさりとて
耳を貸すなく
誰をかその手を差し伸べよう
賢しき人ノ子よ
それが故に不和を招き
住処を追われ
独り孤独に生きるのみか
小さき人ノ子は
その声も小さくあれば
耳を貸すなく
誰をかその手を差し伸べよう
かかる憂き世にながらへて
何の数奇の在るならん
かくて龍人会い合うのなら
空飛べぬ龍ノ子と
地さえ歩けぬ人ノ子に
すさまじき声のある
かくもみなみな誹るなり
片や天を仰ぐ
片や地を睨んで
己が命を秤に置いて呪うなり
賢しき人ノ子よ
今はまだつゆつゆ知らず
その手に持つは
地を這う小さく弱き者
さてもところ深く闇
その手の内に潜むもの
闇を見つめて
密かに密かに笑うよう
目覚めし龍ノ子よ
斯くして人を欺きて
その声を聞き
その力の源辿るらん
さても邪なること
かつての己を封じた
数多の所業
それら所以知るところか
かかる憂き世にありながら
何の数奇の在りながら
かくて龍人あい別れるなら
その目覚めた龍ノ子の
天に駆け登るその姿
かかる憂世なれど
ただめでたしと声のある
片や天を泳ぎ
片や地に虚ろに
再び出会うことその名に於いて契るなり
地に残る者
その命尽きる今際なら
定めて降り来るは
違えぬ契りなり
大きなる龍ノ子の
かくて戻った暁には
斯く斯くの恩をして
その身をいざ連れゆかんと
いざ向かえ天の果て
かかる憂き世の別れならば
その背に乗りながら
龍人飛翔のその姿
天へと昇れ 登れ 上れ 果てなく
みなみなこれをして龍人秘抄と記したり