『仲良し村の八人の仲間たち』歌词
作词 : 凋叶棕
作曲 : ZUN
申の二つ「『仲良し村の八人の仲間たち』」
原曲:蓬莱人形~Dolls in Pseudo Paradise
『さあ、おいでおいで、はじまるよ。
ほら、そこの君もそんな遠くで見てないで。
不思議で楽しい人形劇のはじまりはじまり』
『仲良し村の八人の仲間たち』
昔々あるところに 村人皆が仲良しの仲良し村がありました
仲良し村の八人の村人は 貧しい暮らしをしていましたが
それでも八人は皆で助け合い 平和に毎日を
それはそれは楽しく暮らしていたのです
ところがそんなある日の事でした
八人の内 特に皆から好かれていた 一番特別な子が
突然村からいなくなってしまったのです
さあ大変です すぐに村中が大騒ぎになりました
皆は必死にその子を探しましたが
どこをどれだけ探しても 見つかりませんでした
どこへ行ってしまったんだろう 皆途方に暮れました――その時です
八人の中でも 一番よく物に気付く男の子が
村の桃の木に不思議な穴が開いている事に気付いたのです
「きっとあの子は、ここに入ていたに違いない。」
「そうだ、きっとそうだ!」
「こうしちゃいられない、追いかけよう!」
皆 その中へと 入てみることにしました
木の中は 狭く暗い洞窟のようでした
どこまでも どこまでも続いていくようです
つっかえつっかえ ずーと同じような道を進んでいきます
それでも皆 あの子を探すために 一生懸命進んでいくのでした
そうして どれほどの時間が経ったでしょうか
「あ、出口だ!」
一番先抜いていた 一番幼い男の子が声を上げました
洞窟を抜けると 辺りには不思議な景色が広げていました
ここはどこだろう 皆 不思議に思いました
見たことのない空 見たことのない草木
見たことのない山々 見たことのない小鳥や動物達がいたのです
そんな不思議な世界に見惚れていると
一番好奇心旺盛な男の子が 声を上げました
「おい、あっちに何か見えるぞ!大きな屋敷だ!」
それは古く しかし立派なお屋敷でした
近付いて見ると 玄関の前に 小さな靴が一つ落ちていました
――あの子の靴でした
恐る恐る扉に手を掛けます 扉はゆっくりと開きました
お屋敷の玄関に 誰もいませんでした
「おーい、誰かいませんか?」
一番賢い男の子が声を上げます けれど 返事はありませんでした
けれど このお屋敷の中にきっと あの子はいるに違いないのです
皆 このお屋敷を探そうと思い立ちました――その時です
「あれ?なんだろうこの匂い…」
皆どこからか 美味しそうな匂いがしてきている事に気付きました
匂いの先を辿ると そこは大きな食堂でした
食堂の大きなテーブルには 八人分の食事が並べられていたのです
お皿には 油煙を立てる美味しそうなベーコンエッグ そしてコーヒー
皆 お腹が空いている事に気付きました
「僕達は八人、そして食事も八人分。
丁度いい、ここでご飯を食べていこうじゃないか。」
一番大人びた男の子がそう言うと 皆席に着いて 料理を食べ始めました
けれど一人だけ 料理を食べなかった男の子がいました
その子はとても臆病で
皆が何だかいけない事をしているような気がしたからです
それで男の子は 食堂から出ていてしまいました
でもやっぱり 男の子は怖がりでした
お屋敷の中を 一人で探すことはできずに
少ししてから やっぱり食堂へと 戻っていくことにしたのです
――ところが 食堂の中には誰もいませんでした
食事をしていたみんなはいません 料理はありません
「おい…誰かいませんか!?」
堪らず男の子は 声を上げました
そうすると 小さな声が聞こえてきたのです
「やーこんにちは!僕はね、とっても愉快なピエロさ!」
小さなピエロが テーブルの間に立っていました
片足が裸足の 不思議なピエロです
「あなたは誰?み、みんなはとこに行ったの?」と 男の子は聞きました
「だから僕はピエロ!一番愉快なピエロさ!ねぇねぇ、ご飯はどうだった?
美味しかったかな?君達のために用意したんだよ!」
男の子はどう返事をしていいのか分からず 困ってしまいました
「なーにどうしたの?まさか食べてないのかい?」
「そ、そんな事ないよ、美味しかったよ!」
慌てて男の子は そう返しました
「ふーん、そうなんだ…ねぇねぇ、ここはとっても素敵なとこだろう?
ずっとここで楽しく暮らそうよ!」
あの子 皆も どこに行ってしまたんだろう
だんだん男の子は 怖くなってきました
「僕、もう、帰らなきゃ…」
気付くと 男の子はそう口にしていました
「帰る?なんで?君はここにずっといるって、そうみんなも!」
「い、嫌だ!僕は帰るんだ!」
男の子は叫び 食堂から出ていこうとしました――その時です
「なんーだ、お前もあいつらと同じで、嘘つきなのか!
嘘つきはな――こうしてやるよ!!!」
そう言うと ピエロの姿が見る見るうちに大きくなる
大きな 黄色の髪をした怪物になったのです
ビックリした男の子は 大急ぎで逃げ出しました
ああ ここはなんて恐ろしいところなんだ
後から黄色の髪の怪物が追いかけてきます
男の子は走りました 息を切らせて走りました
森を走り 森を抜け 洞窟へ やってきたあの洞窟へ
後ろから追いかけてくる 足音を聞こえます
走ります 無我夢中で走ります
恐ろしい唸り声が聞こえます 目を閉じて 走りました
どこかも分からず 真っ暗の道を ただただ走って行きました
気が付くと そこは桃の木のそばでした
あれは夢だったのか 男の子はそう思いました
桃の木には 穴なんてなかったのです
男の子は 皆を探しました
けれど 誰ひとり見つかりませんでした
男の子が途方に暮れていた――その時です
「ねぇ、どうしたの?」
男の子に声を掛けたのは 探していたあの子でした
「とこに行ってたの?探したんだよ。」
男の子はそう聞きました
「どこって、最初からここにいたのよ?
それよりほら、これ見て。」
その子の手には 六つの綺麗な宝石が握られていました
こうして 二人だけになってしまた仲良し村の二人は
その宝石を売ったお金で 前よりも豊かに
そして、前よりもずっと幸せに、暮らしましたとさ
――おしまい。
『はい、お話はこれでおしまい。
ん、どうしたの君?そんなにじっと見ていて。
え?この人形達が、どうやって動いてるかって?
ふふん、それはね、ひ·み·つ』