円尾坂の仕立屋歌词
円尾坂の片隅にある
仕立屋の若き女主人
気立てのよさと確かな腕で
近所でも評判の娘
そんな彼女の悩みごとは
愛するあの人の浮気症
「私というものがありながら
家に帰ってきやしない」
だけど仕事は頑張らなきゃ
鋏を片手に一生懸命
母の形見の裁縫鋏
研げば研ぐほどよく切れる
今日も町はいつもの通り
嗚呼穏やかで平和な日常
大通りであの人を見かけた
隣の女はいったい誰?
赤い着物がよく似合う
美しい女と仲むつまじく
歩くその姿こらえきれず
その場所をすぐ離れたの
だけど仕事は頑張らなきゃ
鋏を片手に一生懸命
頬を涙で濡らしながら
着物の縫直しに精を出す
町は何やら不穏な空気
何か事件がおこったらしい
橋の前であの人を見かけた
隣の女はいったい誰?
落ち込んだ様子のあの人に
寄り添う髪のきれいな女
緑の帯がとても似合うわ
ああそんな子が好みなのね
だけど仕事は頑張らなきゃ
鋏を片手に一生懸命
赤く眼(まなこ)をはらしながら
帯の修繕に精を出す
町はにわかに騒ぎ始めた
再び事件があったらしい
かんざし屋であの人を見かけた
隣の女はいったい誰?
年端もいかぬ女の子に
黄色いかんざし買い与えて
一体何をしようというの?
本当に見境がないのね
だけど仕事は頑張らなきゃ
鋏を片手に一生懸命
鋏の色 こんなだったかしら?
今日も仕事に精を出す
ようやく仕事もひと段落した
会いに来てくれないのならば
こちらから会いに行きましょう
赤い着物 緑の帯
黄色いかんざし 髪に挿して
あなた好みの女になったわ
どう?わたし綺麗でしょう?
今日は町中が大騒ぎ
今度は男が殺された
これで家族四人が全て
何者かに殺されたらしい
それにしてもひどい人ね
「はじめましてこんにちは」なんて
まるで他人みたいじゃない
まるで他人みたいじゃない
だけど仕事は頑張らなきゃ
鋏を片手に一生懸命
赤く染まった裁縫鋏
研げば研ぐほどよく切れる