[00:00.00]作词:トーマ [00:06.97]作曲:トーマ [00:13.35] [00:40.30]或る夏、影を伸ばすような夕暮れ [00:43.74]カラスが鳥居の上で聞いた噂 [00:46.61]耳打つ子供の声 夏祭り、揺ラリ [00:50.72]裏山の小道、トンネルの向こうに [00:54.26]ポツリと古び眠る屋敷があって [00:57.24]首吊った少女の霊が夜な夜な出るそうだ [01:01.12]好奇心で立ち入る人達 [01:04.27]「言っただろ、出るはずない」と [01:06.68]軋む階段 揺れる懐中電灯 [01:09.64]誰も気付いてはくれないや [01:12.06]「私、死んでなんかない。」って [01:14.66]暗がりに浸かって [01:15.95]そっと強がって澄ましても [01:18.54]過ごした日々と共に [01:20.60]止まった針は埃被って [01:22.90]また声枯らして今日が終わって [01:25.84]明日が窓に映り込んでも [01:29.28]私は此処にいます [01:33.93] [01:55.07]季節を束ねた虫の聲 夕立 [02:00.36]流れた灯篭 神様の悪戯のよう [02:07.58] [02:15.19]迷い込んできた灰色猫 [02:18.35]「あなたも私が見えないの?」 [02:20.69]背を撫でようとした右手は虚しく [02:23.83]するり抜け、空を掻いた [02:26.35]「私、死んでいたのかな」って [02:28.46]膝を抱えて 過去の糸を手繰っても [02:32.24]些細な辛いことや家族の顔も思い出せなくて [02:37.12]遠くで灯りだす家並みの明りや [02:40.58]咲いた打ち上げ花火を [02:43.40]眺め、今を誤魔化す [02:47.87] [03:14.55]夏の終わり 過ぎ去った [03:18.33]子供たちの噂も薄れ [03:20.85]漂っては薫る線香の煙と一緒に [03:26.60]姿は透け、やがて消えゆく [03:30.88]私はただの一夏の噂だった [03:34.95]六月始めに生まれ [03:37.81]八月終わりに遠退いた [03:40.47]意識は影法師になった [03:43.04]誰も見つけてはくれなかったけれど [03:46.45]記憶の片隅にある [03:48.41]かつての淡い日々の [03:51.02]一部となって残り続ける [03:53.59]もう切らした向日葵の歌 [03:56.01]蝉しぐれも亡き [03:57.56]夏の匂いだけ残る屋敷に [04:01.03]少女はもういないだろう