フランマ 決して熄えない、私のフランマ。 貴女のしあわせ、燃やしてあげようか? 爛れた炎[おんな]にさせたのは、 あの夜の貴方の言葉。 「君だけ、愛してる」 貴女に帰すあいだだけ、許されるこの微熱。 これ以上、共[とも]してはならない、 ひと夏の火遊びを。 燻って、煩わしくて、熄んでいて、煽りやすい。 私にしか見せない、日陰の顔。 ねぇ、貴女は知らないのでしょう? それだけが、私の炎。 熔け落ちるほど求めてる愛を、 味わう貴女が地獄ほど憎い。 爆ぜてしまえという本心を、 灰にする貴方の言葉。 「誰より、愛してる」 ひとりになるのが怖くて、焚きつけた出来心。 貴方が着替える前の、ジャケットに残り火を。 燦やかで、煌めいて、煖かくて、燥いでる。 私には届かない、日向の顔。 ねぇ、貴女はどんな気分? 燗えたぎる、私の炎。 私の愛を燈されたあとの、 笑顔で燿く彼だけ見ていれば? 煤けた私の正体を、 炙り出す貴方の言葉。 「本当に、愛してる」 眠る時はひとり。秘密守るのもひとり。 私だけ。どうして、どうして? あぁ……勝てない。 その烙印が身も焦がす、私の炎。 貴方のここに火傷跡つけて、 どこにも帰れない躰にしてみたい。 午前0時にまた煙に巻かれ、 私が私じゃなくなる、その前に。 決して熄えない、私のフランマ。 お前のしあわせ、いま燃やしてやろうか? 爛れた炎[おんな]が妬いたのは、 この夜も貴方の言葉。 「それでも、愛してる」