ロスト・■ ねえ私 気付いたの 世界は こんなにも静かだと もう ここに聞こえるのは 私の小さな心音くらいで 何の音も聞こえないのだけど けして傷つけられることもない ねえ私 わかったの 何にも 意味なんてないのだと もう 何も感じなくても それでいいかなって思えてるの だれも私に気付かないのだけど 誰の声も聞こえない 私一人きり 夢見るように 目を瞑り おのれの鼓動だけを 聞きながら かつてない 静寂の満ちゆく 得たものの尊さを抱きしめながら 静かに■(わら)っている その色彩を使い果たして ただ仄暗い光産む器官 かつて自分自身が恐れ疎んだ けして読み取れぬ空虚を宿して ————静かに刻む。 瞳は眠り続ける。 目覚めの時は。 遠く遥か 誰も知らない。 空虚を湛えて。 満たされた心が囁く きっと 今なら 今なら きっとね わたしも■■(わらえる)気がするから。 透明に 形作る その表情に色彩は 宿らないのだけど かつてない 平穏のあるなら 喪ったものの大きさも知らなくていい ■■(わら)って■(ない)て■(あい)を■(なげい)て それらの意味も全部棄て去っても 胸に宿す亡失の心に たった一カケラだけ残るそのエゴが いつまでも膿む傷となる。 それでも虚ろに■■(わらい)続ける————。