[00:00.000] 作词 : Naotaro Moriyama/Kaito Okachimachi [00:01.000] 作曲 : Naotaro Moriyama/Kaito Okachimachi [00:50.64]坂の途中の病院の患者さんは [00:52.92]主に夏の亡霊たち [00:55.03]彼らは慢性のアトピーを治すために [00:57.35]ニンニクの首飾りをして [01:00.89] [01:03.29]月のカケラの靴を履いている [01:05.54]早起きが苦手な彼らは [01:06.94]診察の日は機嫌が悪い [01:08.66](この病院の診察時間は朝の九時までなのだ!) [01:13.69] [01:40.65]坂の途中の病院の院長先生は [01:42.80]白衣の似合う初老の紳士 [01:44.99]彼はギャンブルとアンチョビには目がなくて [01:46.79]聴診器の中にラジオを仕込んでいる [01:50.80] [01:53.36]薬の調合をダーツで決めて [01:55.60]天気が悪いと嘘の診察をする [01:57.44]だけどこの辺りには他に病院がないから [01:59.21]坂の途中の病院は今日も大忙し [02:01.14]院長先生は去年のクリスマスに [02:02.87]三台目のキャデラックを購入した [02:06.35] [02:30.44]坂の途中の病院に起こった [02:31.99]幾つかの忌まわしき出来事 [02:33.39]その話題に触れた者はたとえ誰であろうと [02:35.85]始めからこの世に [02:36.93]いなかったことにされてしまう [02:38.27]総理大臣だろうと掃除のおばちゃんだろうと [02:40.23]そこに区別は存在しなくって [02:43.00]ある意味で平等だと言えることが [02:44.62]坂の途中の病院らしさでもあるから不思議 [02:45.97]今夜も捨てられた猫が [02:48.94]どこからともなく集まってくる [02:50.62]眠れないほどの鳴き声なのに [02:52.49]「鳴き声で眠れない」なんて [02:53.75]苦情を言う人間(ひと)は誰一人いないんだってさ [02:56.94] [03:20.38]坂の途中の病院は良心的で有名 [03:23.76]看護婦さんたちはとっても丁寧で [03:26.11]忘れ物をしたって真夜中だって [03:28.54]家まで届けてくれる [03:32.99]子供の飛ばした鼻糞だって [03:34.73]届けてしまうこともあるくらい [03:35.81]水道水と部屋の温度は [03:37.14]いつでも患者さんの体温と [03:38.21]同じにしてあって [03:39.36]あんまり長い間そこにいると [03:41.59]自分の存在さえ忘れてしまうくらいなんだ [03:46.40] [04:10.29]坂の途中の病院にまつわる四つの噂 [04:12.54]一つ目の噂は [04:13.24]二つ目の噂が真実だってこと [04:14.56]二つ目の噂は [04:15.31]三つ目の噂が出鱈目だってこと [04:16.53]三つ目の噂は [04:17.58]四つ日の噂が本当は五つ目の噂だってこと [04:19.25]四つ目の噂は [04:27.11]一つ目の噂が気紛れだってこと [04:29.48]坂の途中の病院は今日も大忙し [04:35.12]待合室に漂っている [04:36.88]バニラビーンズの香りは [04:40.01]昔、行方不明になった友達が住んでいた [04:42.06]ボロアパートの匂いによく似ている [04:47.08]診察待ちの列に紛れ込んだ羊たちの群れが [04:51.58]そこをいつまでもいつまでも [04:53.97]来る日も明くる日も [04:56.68]楽園だと思い込んでいる [05:01.51] [05:02.11]飽きもせず定期健診 [06:36.51]おわり [06:40.71]