[00:00.50]鴎外さんと違って、俺には文才なんてない。 [00:08.30]それでもこの胸の奥に支えたままの思いを、 [00:13.00]言葉という手段で、俯瞰してみたくなった。 [00:18.40]きっと君は、大袈裟だと笑うだろうけど、 [00:23.80]俺にとっては、小さくない挑戦で、 [00:27.80]絵を描くことよりも難しいのは、間違いない。 [00:33.00]でも、存外うまく書くことができたら、 [00:38.35]いつか君に、この文章を見せてもいいと思う。 [00:43.00] [00:48.00]今日は、生憎の御空模様だ。 [00:54.75]窓の外、遠い夜空に淡墨を滲ませたような雲が見える。 [01:04.54]この町が雨に包まれるのは、時間の問題だろう。 [01:12.69]髪が湿気るから雨は困るけど、 [01:15.45]運が良ければ、虹が出る。 [01:19.60]だから、そう嫌いにもなれないんだ。 [01:23.89] [01:27.60]虹を見ていると、何だか、君に似ているような気がしてくる。 [01:37.18]七色に変化する表情とか、 [01:40.10]気だるい空気を吹っ飛ばしてくれるところとか… [01:45.35]あと、折角この腕で抱きしめたのに、 [01:49.60]いつの間にか、どこか違う場所へ行ってしまうところとか。 [01:57.52]こんなことを言っても、君はどうせ、首を傾げるだけだろうな。 [02:07.35]君は、いつまで俺の心をかき乱すつもりなんだろう。 [02:16.35]俺だけが必死に手を伸ばしているみたいで、 [02:21.16]たまに、もどかしくなる。 [02:25.88]もしかしたら、君は虹なんかよりも、もっと不確かな存在なんじゃないかって、 [02:32.58]疑いたくなる時があるんだ。 [02:36.45]こうやって改めて文字にすると、 [02:39.58]自分でも、おかしなことを考えてるって思うけど… [02:45.10]それでも時々、自分の感情を見失ってしまうのは確かで。 [02:53.55]愛しさ、寂しさ、嬉しさ、切なさ... [02:59.80]沢山の感情が混ざり合って、胸がいっぱいになって、 [03:06.22]息すらも、忘れそうになる。 [03:12.00]想像もつかなかっただろう、俺の胸の中が、こんな風になっているなんて。 [03:22.14] [03:23.30]君に全てを悟られるのは悔しいけど、 [03:28.50]たまに、気づかせてみたくもなる。 [03:33.00]矛盾しているようだけど、どちらも、俺の本心には、変わりないから。 [03:43.10]だから俺は絵筆を取るんだ。 [03:46.84] [03:50.35]どんなにちぐはぐな感情でも、 [03:52.50]真っ白な紙の上ではたちまち、 [03:55.78]華やいだ色となって浮き出てくる。 [04:00.81]やり場のない思いが絵筆を走らせ、もがく程に、 [04:04.05]塗り重ねた面が、豊かな表情を帯びていく。 [04:09.38] [04:11.93]今描いた絵が完成したら、誰よりも先に君に見せたい。 [04:18.35]俺を取り巻く世界はこんな色をしているんだって。 [04:26.70]ねえ、次は君が見ている色を教えて? [04:34.80]君にとってのこの世界は、どんな風に見えてるの? [04:41.00]自分が誰なのか、どこから来たのか、 [04:45.50]それすらも不透明なその目には、一体何が映ってる? [04:54.10]全てが朧げで、 [04:55.20]まるで靄に包まれたような、線の滲んだ景色が、 [05:00.80]ただ、漠然と広がっているのかな。 [05:07.30]その中で俺の姿だけは、くっきりと映っていればいいのに... [05:15.99]なんて思うのは、わがままなことかもしれないけど。 [05:20.50] [05:23.90]今描いている絵の輪郭も、 [05:26.50]指で擦れば、君が見ている景色と重なって、 [05:30.72]この思いをもう少しだけ、うまく伝えることが出来るかもしれない。 [05:38.00]他の誰もが理解してくれなくたっていい、 [05:42.33]君が喜んでくれるなら、俺は、何枚だって絵を描き続ける。 [05:50.35]だからずっと、俺の隣で 笑っていなよ。 [06:01.40]もしも君の心に、ぽっかりとした暗闇にも似た大きな穴が開いているのなら、 [06:10.65]時間を掛けてでも、俺が少しずつ埋めてあげる。 [06:17.40]そしていつか、俺でいっぱいになった君をこの腕に閉じ込めたら [06:24.24]二度と離さないって、誓うよ。 [06:31.31]このガラス窓を雨が濡らして、ぼんやりとした景色に飲み込まれそうになる時も、 [06:40.50]君の顔が不安で濁る前に、抱きしめに行く。 [06:46.80] [06:48.00]君を、愛しているから。 [06:51.99] [06:56.30]嗚呼、やっぱり、俺には決まりの悪い文章しか書けないみたいだ。 [07:06.99]この文章は、君の目には届かない場所にしまっておくことにする。 [07:13.99]十年、二十年と経った時に、自分で読み返してみるのもいいかもしれない。 [07:22.99]いつか、こんな文章を書いた自分を「馬鹿みたいだ」って、笑い飛ばせるように。 [07:32.99]その時、君が隣にいてくれることを、信じて… [07:41.66]☆ [07:42.66]★ [07:43.66]☆ [07:44.99]★ [07:46.10]☆ [07:50.20]★ [07:52.56]☆日語原文by網易雲評論區-Habou☆ [07:53.21]★時間軸by歌詞上傳者↓★ [07:55.20]♪